これまで輝かしい成績を残してきた5年生のメンバーがこの3ヶ月で退会される方が続出している現状を大変残念に思っております。
いずれも「もっとレベルアップしたい」というお話をお聞きしています。
私たちは今の方法でレベルアップは可能と強い信念を持っていますが、それでも私たちのコラソンの育成方針にご賛同いただけていない方々がいらっしゃることに私たちの力不足、期待を喚起できていないこともどかしさを強く感じています。
そこで「今更」ではありますが、コラソンがどのように指導、育成を考えているか改めて書き記しますのでご参考にしていただければと思います。
【コラソンがコラソン以外のスクール活動参加をご遠慮願っている理由】
◎ 最大の理由はその子が「サッカーを辞めないため」
◎「いい仲間」作り、スポーツマンという言葉の意味
◎ 大人の管理下での練習時間、私たちが恐れている事
◎ 誰が幸せになるのか?
◎ レベリングの考え方
◎「隣の芝生」、そして「目の前の芝生」
◎前提として
「コラソンはスクールを禁じている」「自由がない」「営業的な囲い込みだ」というご意見もお聞きしました。
この「なぜ?」に対する私たちの考えを改めて述べたいと思いますが、その前にまず私たちは「コラソンの活動によって幸せになっていただきたい」と考えています。
これが私たちの仕事の最も重要な目的です。
ですので、どんなに私どもの考え方を言語化できたとしても幸せを感じることができないばかりか不満が大きくなってしまう方へはご理解いただけないかもしれませんがお伝えさせていただきます。
◎「いい仲間」作り
まず、私たちは幼児からの一貫指導をしています。
最初の4歳、5歳から出会ったお子さんたちの15歳の、あるいはそれ以降の未来を描いて日々アプローチしています。
その成長は「早熟な子」もいれば「晩熟なゆっくりしたタイプ」もいます。
何かのきっかけで「急に成長していく子」も、「一時的にはストップする子」もいます。
「この子は間違いなくトップレベルに行く」
「コラソン愛がすごいから(プレーレベルは置いといても)コラソンを代表する子になる」
そんな子たち、保護者の方々との出会いは私たちの最高の喜びです。
そしてその成長を支えるのが保護者の皆様であり、仲間たちであり、私たち指導者です。
私たちはただサッカーの技術・戦術が向上するだけでなく、スポーツマンの原点である「Good Fellow」、すなわち「いい仲間」であるように言動、振る舞い、姿勢などをサッカーの技術や戦術指導と同じように、むしろそこは厳しく指導しています。
つまり「いい仲間の集まり」コミュニティになるように指導しています。子どもたちへの応援の際も指示をしたりしないようにお願いしているのもそういった冷静な態度や姿勢を保護者の方々へも知っていただくためです。
もちろん、これは世界的な課題であり、私たち指導者に危惧されるパワハラ、モラハラ同様、保護者の方の言動や行動の行き過ぎは子ども成長を阻害すると危惧させる一つと認識されています。
保護者の皆様も「子どもの習い事の顔見知り」でなく本気でお互いの成長を手助けする「親として新しい仲間づくり」を意識していただけたらと思っています。
これが皆様そして私どもスタッフを含めたクラブの成長には必要なものだと思います。
そして、すでにコラソンのOBやOGは一生の付き合いをされている方がたくさんいます。
それは子どもたちと関係なく保護者同士も同様に多くいらっしゃいます。
たくさんのいい仲間づくりをされている方がいらっしゃることがコラソンの誇りです。
「仲間がいること」、人生において重要ではありませんか?
それにサッカーのプロや高いレベルに到達する人ほど基本的に多くの仲間がいます。なぜなら周りの助力があってこそ高いレベルに行けることを身を持って知っているからでしょう。
◎大人の管理下での練習時間、私たちが恐れている事
また、時間についてですが、コラソンでは年齢と共に練習回数を決めています。現在の1週間の練習量は5、6年生でほぼ週4回で480分。
十分すぎる時間です。
ちなみにこの時間は「大人が管理している練習等の時間」という意味で、子どもたちが自主的に遊んでいる時間は入っていません。
サッカー先進国である欧州、南米のトップクラブはこの管理下の練習時間を厳しく制限しおり、一部では12歳でも480分より少なく設定しています。
また、夏休みなどは1ヶ月活動が休止したりしており、世界の強豪国といえども成長を急がせるようなことはしていないのが現状です。
その反面、家族との時間を長く取ることの方を大事にしています。
だから、もしコラソン以外でスクールに通うことになれば週5、6回となってしまい、管理下での絶対量の増加で上手くなるかもしれませんが、疲弊する時期、障害などを多く起こす時期も早く訪れる可能性が高まります。
また、本当のよいサッカープレーヤーになるためには心技体の充実、怪我や病気が少ないことが絶対条件です。
もちろん、家族との時間も減ることになります。
それを私たちは関わった大人としてそれを一番恐れています。
保護者の方の期待に応えようと頑張り続け、疲弊した先に「サッカー、もういいや。」という瞬間が訪れてしまうことを一番避けなければならないと考えています。
また、現実問題としてほとんどの子は高校3年生、18歳でバーンアウト(燃え尽きて)してしまっています。その時間を先延ばしするか、早く迎えるかということかもしれませんが、私たちはその先まで(サッカーだけでなく)成長できる人間性の育成を常に考えています。
だから、「スクールに行きたいから」とコラソンから去られるのは悲しいですが、そうすれば今以上に疲弊するような、消耗の多い大人の管理下での練習をすることなく、(少なくとも18歳までは)長く続けられるだろうと思っています。
私たちにとって出会った方との別れは心から残念でも、その子の成長を考えたときに「やり過ぎ」を回避することは、結果としてそのお子さんには「良い」と考えます。
私たちが本当にお金儲けだけを考えるサッカークラブであればなんでも認めて自由にするでしょう。
幼い時に「いっぱい練習する」「いっぱい勝利する」事は実は本当の成長にはつながらない、危険な要素もたくさんあるということを気づいていただければと思います。「いっぱい」「もっと」ということを常に危険だと思わないと子どもの成長は望めないと常に意識しています。
実際に「休息」は成長において非常に重要なものであることをスポーツは違えど大谷翔平選手が示してくれています。(彼は10時間睡眠をとっていると言われていますよね?)
私どもはお子さんに「サッカーが大好きになってほしい」「サッカーが自分を育てる人生の柱になるようなものであってほしい。」ですが、「サッカーバカ」「親の身代わりアスリート」にはなって欲しくないのです。
子どもの時間はサッカー以外に勉強や家の手伝い、美しいもの(自然、音楽や芸術)に触れる時間などにもっともっと使うべきです。
そして、昔から「文武両道」という言葉がありますが、「文武不岐(ぶんぶふき)」という言葉もあります。それは学問を高く目指すこととスポーツの高みを目指すことは同じで、一体であることを示しています。サッカーにかける時間だけをどれだけ多くしても人間的な向上は限定的です。もっと日常である勉強や家族との時間、スポーツ以外の人生を豊かにする時間を取ることで生活を充実させることに目を向けることで一体となっているスポーツや生活も向上していくのではないでしょうか?
◎誰が幸せになるのか?
このように「大人が管理する」サッカークラブ、サッカースクールの活動は時間の上限があるべきだと考えていますが、それでも私たちが「危険だ」と思う方向に「幸せがある」と踏み出す方をお止めすることはできないと考えています。
「幸せになる」方向が違ったらそれは私たちがどんなに危惧して言葉を尽くしても伝わらず、むしろ現状の不満しか出てこないでしょう。
しかし、コラソンを離れてスクールはともかく、試合をするために入られる新しいチーム。
そこにもすでにファミリーとしての人間関係、グループのルールがあることも十分理解して良い「仲間づくり」をしていただければと思います。
「チームはただ試合する場所」ではないのです。
また、全て新しい仲間が歓迎してくださるとも限りません。
襟を正して、新しいコミュニティへのリスペクトを忘れないでください。
「みな幸せになるためにサッカーをしている」
「サッカーをすることに幸せを感じている」という当然のことを忘れないでください。
また、周辺のチームのほとんどが私たち指導者の知り合いであり、広義では「サッカーファミリー」です。
その方々へのリスペクトやご配慮もよろしくお願いします。
◎レベリングの考え方
コラソンでは学年によっては初心者の方も加入されます。
その時、子どもたちは新しいメンバーを取り囲んで嬉々として迎え入れます。
体験の保護者の方にはたびたび「こんなに歓迎してもらえるとは思わなかった」「みんな優しい」と言ってくださいます。
そんな子どもたちが愛おしいですが、試合になると保護者の方は「なんで初心者が試合に出るのか?」「初心者の子が一緒に出場したら自分の子が上手くなれない」という意見も出ると思います。
悲しい現実ですが、それは本当でしょうか?
どの世界にも上には上がいます。その時にどんなレベルであっても迎い入れて育ててくれる環境があるからお互いに成長します。トップレベルのサッカーの世界ですら、皆ライバルでしのぎを削っているだけではないでしょう。
だから、この年代は「上手い子」が「下手な子」に教えてあげればいいのです。そもそも「上手い」とか「下手」とかどれほどの人間的な価値があるのでしょうか?
スポーツにおける優生思想ほど人として育成するときに嫌悪すべき考えだと思います。
また、「競技者」としてレベリングが必要なのはもっと後でいいと思います。
実際にコラソンではこれまでも中学3年生以降の進学の際に全国レベルの子、県大会ベスト8、県大会予選レベル、それぞれのレベルに応じた進学先を選択し、それぞれの場所で活躍しています。でも、サッカーのレベルはそれぞれでもずっといい仲間、保護者の方も同じです。
その経験を「我が子が上手くなるのに無駄な時間」と考える方はきっと人して成長することもないでしょう。
なぜなら「お互い様」ですから、人生は。
それに「仲間が集まってくる」って素晴らしい経験ではないでしょうか?
◎「隣の芝生」、そして「目の前の芝生」
現在のようにただの土グラウンドから芝作りも体験できる環境の中で芝生のおかげで傷害や成長に伴う痛み、熱中症等を減らし、練習が終わってもずっとボールが蹴られる場所をご提供できる状況になりました。
これは30年以上ずっと願ってきて、ようやく叶った環境です。
もちろんそれは自分達だけでの力ではなく、学校法人東京町田学園様のお陰で相模キャンパス(コラソンの通称:パカボル)をお借りすることができています。
そして設立から私たちを支えてくださっている学校法人長友学園様、(株)みどり総合保険事務所様、トラストプラン建築設計事務所様、(株)安藤スポーツ様の3社のスポンサーの方のご支援のおかげです。
今、コラソンファミリーのために「良い」と思ったことを即実行できる現在の環境を私たちは「世界に誇れる環境」だと自負しています。
これは大袈裟ではなくそう思っています。
この3年、皆様と一緒にパカボルでようやく実行できた数々の幸せ、これをさらに維持し、今度はチーム力を強固にするために私たちスタッフは皆様の力をお借りして必死になっています。
皆さんで汗水垂らして植えていただいた芝生、泥だらけになって運んでいただいた人工芝、全てが愛おしい時間でコラソンにとってまさに勝利の歴史です。
パカボルから見える山々の四季の移り変わり、そこにかかる虹や夕焼けの美しさ、激しく降る雨の音、身も凍るような冷たい風など、どこにでもありそうなものでもサッカーを通して「ここでしか経験できない」ものがたくさんあります。
それが「人を育てる環境」かと。
いったい「隣の芝生」はどこにあるのでしょうか?
それくらいの気持ちを込めて日々子どもたちの前に立っています。
コラソンは、皆様がサッカー(スポーツ)がある幸せなライフスタイルを送れるよう、これまで通り、本当の「スポーツの心」を模索し、提供し続けますので引き続きよろしくお願いします。
そして、皆様の中からこれまでと同様にコラソンのエンブレムに誇りを持ってくれる素晴らしいプロサッカー選手が出てくると信じていますのでその時はスタジアムでコラソンファミリーの皆様と大きな拍手で応援しましょう!
きっとそれは、あの国立競技場で。
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参考にご覧ください
スペイン語ですが、映像を見たらわかるものです。
私たちもほぼ言語はわかりませんが見たらすぐわかる内容です。
ぜひ年代に関係なく全ての方が見るべき映像だと思います。
◎「来ないで」NO VENGAS 子どもの気持ち
https://youtu.be/sKcYRj536lo?si=bMJsWQ14QAHmAgKC
◎保護者の方へ
https://youtu.be/0Mr4vbeZ_20?si=rUELjP-Kvd1Zr5TJ
◎指導者の立ち振る舞いについて
https://youtu.be/p86vpBlx5SI?si=WBh0oTuzMShl8O5a